マイクロファイナンス研究ラボについて

 マイクロファイナンス研究ラボは、マイクロファイナンスに関する研究会の開催、海外最新動向と事例の研究、海外文献の紹介を通じて、世界的に存在感を高める包括的貧困削減ツールとしてのマイクロファイナンスの理解を促進します。

 

 世界規模の経済危機、世界各地で頻発する紛争・政変、大規模自然災害等により途上国や新興国の中で貧困格差が急激に広がり周縁化された人々がますます社会から取り残される中で、これら支援を必要とする人々と先進国の人々が、これまでにない方式で結びつく新たな協力の形態が誕生してきています。

 

 これらの新たな協力は、急速に進化するITの活用、支援の可視化、これまで存在しなかった絆設計の工夫等をうまく利用していることに特徴があります。こうした中、70年台にバングラデシュでグラミン銀行が開始したマイクロファイナンス(MF)が40年を経過した現在、その概念を発展させ世界的な包括的な貧困削減のツールとしますますその存在感を強めています。国際場裡では、mix marketや microcredit summit campaignが中心となり、MF機関(MFI)の実績の標準化が急速に整備されつつあります。MFの概念自体も、近年、従来の小規模クレジットの提供を超えて、貯蓄や保険や海外送金等を含め、必要としているがアクセスをもたない人々に、さまざまな金融サービスを如何にタイムリーに提供していくかという金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)の概念が支持されてきています。さらに、マイクロファイナンスの老舗であるバングラデシュのBRACやフィリピンのCARD MRIのように南(途上国)出身のMFIが、途上国に進出して南南協力を実践し、それを北(先進国)のドナーが財政面を中心に部分的に支援するというケースも目立ち始めています。

 

 マイクロファイナンス研究ラボは、2011年に立ち上げた社会デザイン学会「日本発の社会貢献ファンドレイジング研究会」の3年間の活動をベースに、「お金の流れが、社会を変革するパワーを有する」ことに着目し、同研究会と連携し、よりMFに特化した活動をしてまいります。

当ラボには、国内で既にMFを実践している企業家やMF社会活動家が加わり、外部講師招聘による事例紹介を含めオープンな運営を通して、MFに関して日本で最も開放的で、関心をもつ方々の役にたつ情報発信を目指します。日本とアジアや途上国とのつながりを、マイクロファイナンスを通じて考える場として、様々な分野からの当ラボの活動の参加を歓迎致します。

 

【活動内容】

1.今日世界的に注目されているマイクロファイナンス(MF)について、その資金調達方式の違いを踏まえた可能性と限界について理解を深める。当面アジアのMF機関に焦点をあてその最新動向や注目点を紹介する。

2.支援の可視化、アカウンタビリティ、貧困削減計測のツール等に着目し、透明性が高く、信頼性があり、持続可能なMFサービスについての理解を深める。

3.日本の技術やビジネスのノウハウ、マーケッティング力が、途上国の貧困削減にも貢献し得るという認識の下、かかる能力を有する日本企業と途上国で影響力を有しつつある南出身のMFIとの間で如何なる情報を提供し、橋渡しができるかについての理解を深める。

 

【運営】

マイクロファイナンス研究ラボ

(連携:社会デザイン学会「日本発の社会貢献ファンドレイジング研究会」

 

【運営メンバー】

八木 正典

黒柳 英哲